翻訳SF短篇オールタイムベストランキングのリスト

お久しぶりです。ものすごく久しぶりにこのブログが更新されることとなりました。


というのも、翻訳SF短篇のオールタイムベストランキングのリストを作ったので、それを配布する目的です。
せっかく作ったので、使ってもらおうと思いまして。

ランキング、著者、短篇タイトル、収録されている本をひと目で見られるようにしたつもりです。
SFファンの人はたぶん重宝するんじゃないかな。プリントアウトしてトイレに貼り付けて眺めてください。


フォローしているランキングは、以下の通り。

・ローカス誌発表 「20世紀オールタイムベスト」「21世紀オールタイムベスト」それぞれノヴェラ、ノヴェレット、ショートストーリー部門50位まで
(20世紀オールタイムベストは150位くらいまで発表されていますが、そこまで気力が続きませんでした)

S-Fマガジン発表 翻訳SF短篇オールタイムベスト「98年版」「06年版」


ネット上で見られる翻訳SF短篇オールタイムベストってこれぐらいしか思いつかなかったのですが、他にありますかね。




ダウンロードはこちら↓から
ERROR!



Excelなので気に入らないところは各自でイジってください。拡張子は「*.xlsx」。

下のリンクをクリックするとアップローダーの暗証キー入力ページが開きます。
パスワードは「sflist」。
パスワード入力後、認証ボタンをクリックするとダウンロードできると思います。


ダウンロードしたものはご自由に使っていただいて結構です。人にあげても、ご自身のブログで配布しても、なんでもしていいです。

森田季節『不動カリンは一切動ぜず』

不動カリンは一切動ぜず (ハヤカワ文庫JA)

不動カリンは一切動ぜず (ハヤカワ文庫JA)

セックスを介して広まる伝染病の蔓延により、すべての子どもたちは人工授精によって誕生する社会。さらにそこでは、人々は掌に埋め込まれたノードというものを介して情報や思念の交換を行っている。

こんな設定で物語は始まります。
主人公の不動火輪は名前の通り、消極的な性格で自ら積極的に動くようなことはしない。火輪とその親友である滝口兎譚は、学校の自由課題の授業『あの事件はどうなった?』のために小学校の遠足バス転落事故の調査を始める。
しかし、ある日滝口兎譚は何者かに誘拐されてしまう。親友を助け出すべく、不動火輪がついに動く……

と、この辺りまで非常に楽しんで読めました。
思念の交換を国家に監視されている監視社会。SF的な設定のなかで進んでいくミステリ的な展開。少女たちの絆。ライトノベル風の文体で語られるダークな物語。

これからどうなっていくのか、と思っていると、後半雰囲気はガラッと変わり、オカルト伝記小説となってしまいます。
宗教テーマが濃くなり、最終的には異能バトルが始まってしまいます。
たしかに、思念の交換を行っている社会で成立した宗教というものは興味深いのですが、あまり説得力が感じられず、前半のSF設定も薄くなり活かせていない気がしてしまいます。

ということで、正直イマイチ楽しめない作品となってしまいました。

2012年9月ノルマ

先月も仕事が忙しいのとドラクエ10のせいでほとんど本が読めず、三冊のノルマのうち一冊しか消化出来ていません。申し訳ないです。
おそらく今月半ばを過ぎれば、少し時間に余裕が持てると思いますので、今月のノルマは先月先々月と読めないでいた、小松左京『果しなき流れの果に』R・A・ラファティ『つぎの岩につづく』の二冊に加えて以下の二冊を加えた計四冊を今月のノルマにします。

森田季節『不動カリンは一切動ぜず』
パオロ・バチガルピ『第六ポンプ』

もはや、月に三冊というノルマが完全に崩壊し、ワケのわからないことになっており申し訳ないです。
ここらできちんと軌道を修正したいです。

山本弘『地球移動作戦』

地球移動作戦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

地球移動作戦 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

山本弘の本格長篇宇宙SFです。
謎の天体と地球とのニアミスを避けるために地球を動かしちゃおう、という計画の顛末をゴリゴリの力技で描いた力作でした。

タキオンを利用した推進器「ピアノ・ドライブ」が実用化された近未来。
発見された新天体が観測の結果により、24年後に地球に接近し壊滅的な被害をもたらすであろうことがわかる。この危機を回避するために、地球では様々な対策が練られた末に、地球を移動させるという壮大な計画を行うこととなる。


最近のSFは、世界の細かな部分の説明をあまりしないままに話を進めていくものが少なくないですが、この『地球移動作戦』は違います。
地球を移動させる方法、地球を移動させることによって起こる不具合、政治経済的な問題、この他様々な事象、未来の生活、メカの構造など説明しまくりです。ストーリーを一時中断させてまで説明しています。
この姿勢にクラシックSFを愛しているという著者の趣味がうかがえるとともに、好感が持てます。

2012年8月分ノルマ

先月は多忙ゆえに、本が2冊しか読めませんでした。ノルマは一冊も消化出来ていません。ごめんなさい。
ということで、今月のノルマは先月読めなかった、山本弘『地球移動作戦』、小松左京『果しなき流れの果に』、R・A・ラファティ『つぎの岩につづく』の三冊をそのままノルマに引き継がせてください。申し訳ないです。

2012年7月のノルマ

今月のノルマ三冊です。

山本弘『地球移動作戦』
小松左京『果しなき流れの果に』
R・A・ラファティ『つぎの岩につづく』

山本弘『地球移動作戦』は、妖星ゴラスを元ネタにした長篇らしいです。妖星ラゴス知らないんですが、大丈夫ですかね。
日本SFの金字塔、小松左京『果しなき流れの果に』も読みます。
翻訳はラファティ『つぎの岩につづく』。ラファティ読むのは初めてです。

先々月のノルマの草上仁『東京開化えれきのからくり』はまだ読めてません。ごめんなさい。なかなか読む気になれない……

菅浩江『そばかすのフィギュア』

そばかすのフィギュア (ハヤカワ文庫 JA ス 1-4)

そばかすのフィギュア (ハヤカワ文庫 JA ス 1-4)

収録作
雨の檻
カーマイン・レッド
セピアの迷彩
そばかすのフィギュア
カトレアの真実
お夏 清十郎
ブルー・フライト
月かげの古謡

菅浩江の初期短篇集『雨の檻』を改題して、未収録作品の「月かげの古謡」を収録したものです。

この中での一番は「そばかすのフィギュア」でしょうか。
星雲賞受賞、SFマガジン創刊600号で行われたオールタイム・ベスト投票で国内短篇部門一九位にランクインし、さらには英訳されてイギリスのSF雑誌に載り、アメリカのSFの年刊傑作選にも収録された作品です。
世間の評判通り、傑作でした。やっぱりなんだかんだ世間の評価は信用できますね。たまに全く合わないこともありますが。
自在に動き、感情も持つフィギュアと少女の物語です。「美亜へ贈る真珠」にも匹敵する感動系のSFです。

その他の作品も総じて高品質です。
人型ロボット、クローン、伝統芸能をテーマにした作品は、その後の菅作品でも扱われるテーマで、初期作品の頃からすでに現在の作風を確立させ始めていたとも言えます。
意外とダークな作品もあるので、必ずしも読後感が良いとは言えませんが、読み終えたときの満足感は大きいです。